自家用操縦士への道 PartT(1981年7月の訓練記)

 今、思えば、期待と不安を胸に抱いて渡米し、なんとか自家用操縦士の免許を取得することができました。そのトレーニング記録を公開します。
 当時のフライトログブックを見ながら思い出して綴る訓練日記で、自家用操縦士を目指す方の参考になればと思います。

 日本を出発したのは1981年7月10日で、帰国は8月29日でした。訓練は7月13日から行い、7月29日にソロフライト成功、8月23日に実技試験合格しました。途中、航空身体検査やFAAの事務所で学科試験も受けました。

 下記のカレンダーのアンダーライン部をクリックすると、その日の訓練内容などがご覧いただけます。[ ]内ですが、[DEP]は日本出発、[ARR]は日本帰国、[数字]は訓練累計日数、[休]は訓練休み、[慣]は慣熟飛行、[遊]は遊覧飛行を表わしています。
 8月の訓練記はこちらから。(8月1日〜15日8月16日〜29日

1981年7月
SunMonTueWedThuFriSat
   
10[DEP]11[休]
12[休]13[1]14[2]15[3]16[休]17[休]18[4]
19[5]20[6]21[7]22[休]23[8]24[9]25[10]
26[休]27[11]28[12]29[13]30[休]31[14] 
1981年8月
SunMonTueWedThuFriSat
      1[15]
2[16]3[休]4[17]5[18]6[19]7[休]8[20]
9[21]10[22]11[23]12[24]13[25]14[休]15[26]
16[27]17[休]18[28]19[29]20[30]21[31]22[32]
23[33]24[休]25[慣]26[休]27[遊]28[休]29[ARR]

福岡出発(1981/7/10 Fri)


 大学時代は福岡で過ごしたため、福岡発ソウル経由の大韓航空で日本を出発しました。
 本当に期待と不安が一杯でした。さあ、無事、自家用操縦士の免許は取得できるのでしょうか!
 
福岡空港Runway34を離陸(機体は当時のものではなく、YS11です)

休日(1981/7/11 Sat)


 ヘイワードでは、空港から歩いて1時間くらいのところのアパート住まいでした。大学の航空部の先輩と渡米し、このアパートの2階に訓練生4名が暮らしていました。
 アメリカ西海岸は、秋の雨季を除くと毎日快晴で、絶好の訓練日和が続きます。雨が降らないので、毎朝毎夕、スプリンクラーで芝生に水がまかれていますが、その様は本当にきれいでした。
 近くには、「アルファー・ベーター」、「セーフ・ウェイ」というスーパー、セブンイレブンがあり大変暮らしやすかったのを覚えています。ただ、天気がいいのに洗濯物はタウンハウスの庭にある洗濯棟(洗濯機・乾燥機がある)で行い、日本のように外に干さないのにはびっくりしました。
 初めての渡航で、時差ぼけも経験しましたが、若かったせいか一晩寝ると疲れもとれました。
 
ヘイワードで暮らしたタウンハウス

休日(1981/7/12 Sun)


 いよいよ、明日から訓練です。ワクワク、ドキドキです。
 免許取得までの平均的な累計飛行時間は60時間、単独飛行の目安は20時間。
 おりしも、アパートに、もうすぐ実技試験を受ける訓練生がおられました。結局、横風着陸がうまくできず、1回目の試験は不合格。「あー、なんか厳しいなー」
 左の写真は同じアパートに住む(?)、太ったネコちゃん。「おー、ひょっとして、こいつも英語がしゃべれるのか。」と思いました。
 
「I can speak English.」だニャ。

トレーニング1日目(1981/7/13 Mon 13:30〜14:36)


・訓練機 ⇒Cessna150(N6566G)
・飛行時間⇒1時間6分/累計飛行時間1時間6分
・着陸回数⇒1回/累計着陸回数1回
・出発地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・到着地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・訓練内容⇒飛行前点検、地上走行、ランナップ、上昇、降下、旋回








 大学の航空部でグライダーに乗ったことはありましたが、軽飛行機は初めてです。
 グライダーは上昇気流を見つけない限り離陸するとすぐ着陸するのですが、緊張で背中に汗をたくさんかきました。軽飛行機は燃料のある限り飛び続けることができるので、さぞかし緊張して、「きっとたくさん汗かくだろうな」と思いましたが、意外に汗はでませんでした。でも、航空管制官の英語は早すぎてさっぱり理解できませんでした。
 ちなみに、当日の教官の評価は「優」ということですべて1でした。ほんとかな?
初めて座ったコクピット(Cessna150)

トレーニング2日目(1981/7/14 Mon 09:20〜10:44)


・訓練機 ⇒Cessna150(N6566G)
・飛行時間⇒1時間24分/累計飛行時間2時間30分
・着陸回数⇒1回/累計着陸回数2回
・出発地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・到着地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・訓練内容⇒飛行前点検、地上走行、ランナップ、上昇、降下、旋回








 トレーニング2日目ということで、少し落ち着いてそれぞれの動作ができるようになりました。
 飛行前点検は、今から乗る飛行機の機体に異常がないかを目視で点検することです。エルロン・ラダー・エレベーターに異常はないか、機体全体の歪みはないか、プロペラに傷は入っていないか、タイヤの空気は十分か、タイヤに傷はないか、翼の上にある給油口をあけ燃料は入っているかなどを確認します。燃料に異物が混入していないかどうかをエンジン部分の燃料を少し抜いて確認したりします。
 空の上では、車のようにちょっと路肩に止めてということはできませんから、乗る前の点検は安全に飛行するために必要です。点検中は、私の横で教官が目を光らせています。
2人乗りの練習機Cessna150(N66592)

トレーニング3日目(1981/7/15 Wed 12:30〜14:00)


・訓練機 ⇒Cessna150(N6566G)
・飛行時間⇒1時間30分/累計飛行時間4時間
・着陸回数⇒1回/累計着陸回数3回
・出発地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・到着地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・訓練内容⇒離陸、上昇、降下、旋回、失速、低速飛行








 トレーニングメニューが増えてきました。離陸操作をはじめ、20度程度の傾きの旋回、初めての失速と回復訓練、着陸時に必要な技能である低速飛行などです。
 軽飛行機の場合、翼の付根部分に気流の流れを感じる部分があります。失速の場合は、通常の気流の流れと違って気流が逆流するのでその流れで笛が鳴るイメージのブーという失速警報(電子音ではない)が鳴ります。失速体験はいわばジェットコースター好きの方にはたまらない体験と思いますが、どちらかというとグライダーの失速のほうが恐いです。
Cessna150(N66592)でヨッ!

休日(1981/7/16 Thu)


 訓練開始後、はじめての休日です。
 休日とはいえ、航空法規・エンジン・航空気象・航空航法などを座学と称して合計で40時間習いました。問題集で試験問題の演習もします。
 左の写真は、滞在中の一般的な夕食です。牛肉が100グラム100円程度でしたので、ほぼ毎日、ステーキでした。
 スーパーの店内は、アメリカのスーパーという物珍しさから、結構おもしろかったです。ピーマンのそのでかいこと、スイカも大きく楕円形、牛乳はガロン単位(1ガロン4.5リットル)で売られていました。カレーをしようと思っても、ルーはなく、カレーという発音が通用せず。香辛料のビンに入った「Curry powder(カリ、パウダーと発音)」にたどりつくまでに、かなりの日数を要しました。ただ、豆腐、ラーメンを見つけたときはほっとしました。
 参考までに、当時の円レートは1ドル230円でした。
毎日、ステーキ

休日(1981/7/17 Fri)


 訓練生4名のうち、私と大学の先輩は、無事、免許を取得しましたが、あとの2人は途中で帰国したため、免許を取得されませんでした。
 写真左から、パイロットハンドブック、学科試験問題集、航空法規に関する書籍です。学科試験問題集は778問あり、実際の学科試験ではこの問題集と似たような内容が出題されますので、この問題集をマスターすることが学科試験合格への近道でした。以下はその中から出題で、4択です。答は次の休日で。
 No person may act as a crewmember of a civil airport if that person has consumed any alcholic beverages within the preceding
  @ 8 hours.  A 10 hours.  B 16 hours.  C 24 hours.
パイロットハンドブック、学科試験問題集など

トレーニング4日目(1981/7/18 Sat 14:30〜16:00)


・訓練機 ⇒Cessna150(N6566G)
・飛行時間⇒1時間30分/累計飛行時間5時間30分
・着陸回数⇒1回/累計着陸回数4回
・出発地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・到着地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・訓練内容⇒離陸、上昇、降下、急旋回、失速、低速飛行








 Cessna150の場合、通常の離陸速度は55MPH(約100q)。機体が浮くと少し操縦桿を押して速度を上げて、70〜80MPH(126〜144q)で上昇します。上昇の際は、プロペラ気流が方向舵を押すため、左に機体が振れてしまいます。このため、右ラダーは踏み込んだままでないとまっすぐ飛行できません。
 急旋回は、水平に対して30〜40度程度傾いて旋回します。旋回し始めはそうでもないですが、360度も旋回するとGがかかるので、グーッと体が下へ押さえつけられます。全然関係ないですが、西海岸は雨季しか雨が降らないので、山々は左のようなハゲ山が多いです。
西海岸の山々

トレーニング5日目(1981/7/19 Sun 12:30〜14:12)


・訓練機 ⇒Cessna150(N6566G)
・飛行時間⇒1時間42分/累計飛行時間7時間12分
・着陸回数⇒1回/累計着陸回数5回
・出発地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・到着地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・訓練内容⇒離陸、急旋回、失速(離陸時、上昇時、着陸時)、低速飛行、着陸








 失速と一口に言っても、離陸時を想定した失速、上昇時を想定した失速、着陸時を想定した失速があります。いずれも操縦桿を引きすぎて、機首があがりすぎて失速するものです。今日の訓練では、Take-off&Departure Stall、Accelerated Stall、Approach To Landing Stallを練習しました。
 低速飛行とは、フラップをおろして、巡航速度(約100MPH[180q])よりも遅いスピードで飛行します。着陸時の訓練にもなりますし、混雑している空港の場周経路にいるときの速度調整といった場面でも低速飛行します。
 また、今日は初めて着陸の練習をしました。ヘイワード空港は平行滑走路(1,000m、1500m)があり、通常、軽飛行機の場合、長さ1000m・幅23mのRunway28Rを使用します。
見渡す限りの耕作地、とにかく広い

トレーニング6日目(1981/7/20 Mon 11:00〜12:24)


・訓練機 ⇒Cessna150(N6566G)
・飛行時間⇒1時間24分/累計飛行時間8時間36分
・着陸回数⇒1回/累計着陸回数6回
・出発地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・到着地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・訓練内容⇒離陸、失速(離陸時、着陸時)、低速飛行、急旋回、不時着訓練








 今日、初めて緊急時の訓練をしました。突然、エンジンが停止したときを想定した不時着訓練です。実際の訓練では、エンジンを完全停止せず、アイドル状態にします。軽飛行機は、エンジンが停止しても滑空できるため、適正な速度に保ちながらの滑空姿勢の確立(滑空比15:1程度)、不時着場所の選定、高度と誘導コースの判断などの技術を取得します。教官がいきなり、エンジンをアイドル状態にするので、さすがに緊張します。
 ちなみに、左の写真は航空身体検査証です。飛行機を操縦するには、操縦免許証、航空身体検査証、無線免許証が必要です。航空身体検査は、指定検査医が飛行機の操縦に支障がない身体かどうかを検査します。アメリカの指定医は、訓練生の英会話能力も試すので緊張します。なお、日本の検査証はアメリカでの免許取得後のもの(1982年)です。現在、3種はなくなって、自家用操縦士として必要なのは第2種航空身体検査証です。
第3種航空身体検査証
(左−アメリカ、右−日本)

トレーニング7日目(1981/7/21 Tue 15:30〜17:24)


・訓練機 ⇒Cessna150(N6566G)
・飛行時間⇒1時間54分/累計飛行時間10時間30分
・着陸回数⇒1回/累計着陸回数7回
・出発地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・到着地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・訓練内容⇒離陸、失速(着陸時)、低速飛行、不時着訓練








 今日は約2時間の訓練で、累計飛行時間も10時間を超えました。管制官との交信も慣れてきましたし、教官から、「You have control.」といわれて操縦を任されることが多くなりました。
 左の写真は無線の免許証です。アメリカの場合は申請すればすぐもらえますが、日本の場合は記述・実技試験をパスしないともらえません。実技試験は、「朝日のあ、イロハのい」といったルールに従って、送信・受信実技が行われます。私が持っている日本の無線免許は「特殊無線技士無線電話丙」というものです。将来的には、国際ライセンスである航空無線通信士の資格が欲しいと思っていますが、かなりの英語力が必要です。
無線免許証
(左−アメリカ、右−日本)

休日(1981/7/22 Wed)


 久しぶりの休日です。学科試験をいつ受けたかは覚えていませんが、多分7月末頃か8月上旬だった気がします。休日とはいえ、学科試験の勉強をしていた記憶があります。学科試験は4択問題が25問出題され、1問4点の100点満点。たしか、60点以上(70点かもしれません)が合格なんですが、私は96点で、上出来でした。さて、7月17日の問題の答は@の8時間。要は、飲酒操縦はできませんので、操縦する8時間前から禁酒です。
 ちなみに、左の写真は、フライト・コンピューターというもので、いわゆる計算尺です。速度、目的地までの距離、風の状態などから、目的地までの飛行時間、消費燃料などを計算尺の丸い部分を回しながら計算します。学科試験でも使いますが、実際の訓練でも使用します。目的地の空港を変更するという設定で教官が飛行中に質問するので、その時点の飛行地点や風の状態などを判断しなから、機上で計算し答えます。結構、疲れます。
フライト・コンピューターという計算尺

トレーニング8日目(1981/7/23 Thu 11:56〜13:20)


・訓練機 ⇒Cessna150(N66592)
・飛行時間⇒1時間24分/累計飛行時間11時間54分
・着陸回数⇒1回/累計着陸回数8回
・出発地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・到着地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・訓練内容⇒低速飛行、不時着訓練、失速、急旋回








 今日の機種はCessna150ですが、機体はN6566Gではなく、N66592です。N66592の方が機体が新しいので乗りやすかったのを覚えています。
 単独飛行までの飛行訓練時間の目安は20時間。訓練メニューもひと通りやっているので、例えば失速から確実にリカバーできるか、不時着訓練は確実にこなせるかなど、それぞれの訓練メニューを確実にこなせるかが試されます。ぼちぼち、単独飛行を意識して訓練するようになりました。
 左は、サンフランシスコ空港周辺の管制空域の航空図です。ヘイワード空港は、サンフランシスコ湾をはさんでサンフランシスコ国際空港の対岸にあり、北側にはオークランド国際空港があります。このため、ヘイワード空港周辺空域は混雑しており、離着陸の際は他の航空機がいないかどうか注意が必要です。
Terminal Control Area Chart
(San Francisco)


トレーニング9日目(1981/7/24 Fri 14:00〜15:12)


・訓練機 ⇒Cessna150(N66592)
・飛行時間⇒1時間12分/累計飛行時間13時間6分
・着陸回数⇒7回/累計着陸回数15回
・出発地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・到着地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・訓練内容⇒低速飛行、失速、急旋回、タッチアンドゴー








 今日から、いよいよ、着陸訓練が本格化しました。一通りの基礎的訓練メニューをこなした後、タッチアンドゴーの練習です。
 今日はヘイワード空港でタッチアンドゴーの訓練で、Runwayは28R、右回りの場周経路です。タッチアンドゴーは、文字通り、一度着陸した直後にフラップをあげ、スロットルをフルパワーにしてすぐに離陸します。今日の訓練ではこれを6回繰り返し、Full Stopまで、計7回着陸しました。タッチアンドゴーは緊張する訓練ですが、楽しい訓練でもあります。明日もタッチアンドゴーの訓練です。
 左の写真は、ヘイワード空港の全体配置図(上方向が北)です。太く黒い2本が滑走路で、写真右下から着陸するのがRunway28(28は、北を0度として、着陸方向が280度ということ)です。滑走路2本のうち、着陸時右側にある短い滑走路がRunway28R(Right)、左側の長い滑走路がRunway28L(Left)です。短いほうの滑走路は、VASI(Visual Approach System Indicator)がありませんので、文字通り、目視で着陸です。VASIがない滑走路で訓練したことは、滑走路の見え方と自機の位置を体で覚えるのでよかったと思います。
ヘイワード空港の全体位置図


トレーニング10日目(1981/7/25 Sat 11:10〜12:52)


・訓練機 ⇒Cessna150(N6566G)
・飛行時間⇒1時間42分/累計飛行時間14時間48分
・着陸回数⇒8回/累計着陸回数23回
・出発地 ⇒HWD(ヘイワード空港)⇒OAK(オークランド国際空港)
・到着地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・訓練内容⇒低速飛行、失速、急旋回、タッチアンドゴー、急降下








 今日は、ヘイワード空港の北西に位置するオークランド国際空港でタッチアンドゴーの練習です。
 オークランド国際空港は、ヘイワード空港から軽飛行機で約18分とすぐのところにあります。国際空港ですから、滑走路は長く3000mです。オークランド国際空港でタッチアンドゴーを7回繰り返した後、ヘイワード空港へ帰ります。
 途中、スリップと呼ばれる急降下の練習を行いました。スリップとは、ラダーとエルロンを反対方向に操作し、一気に高度を下げる技術で、なかなかスリルがあります。よく戦闘機が、編隊飛行から一機ごとブレイクするときに使う技術です。
 左の写真は、機体種別ごとにある飛行機のオペレーティング・ハンドブックです。その飛行機の性能(離陸速度、巡航速度、限界速度、上昇限界高度など)が書かれています。離陸・着陸速度など、よく読んで頭に入れて操縦しないと事故を起こしてしまいます。
オペレーティング・ハンドブック
(右 Piper cherokee140)
(左 Cessna150)


休日(1981/7/26 Sun)


 たまの休日には、サンフランシスコ湾をはさんでヘイワード対岸のサンフランシスコへ遊びにいきます。BART(Bay Area Rapid Transport)の駅までバスでいって、そこからBARTに乗ってオークランド経由でベイブリッジを渡り、サンフランシスコへ。一見、電車と間違えるサンフランシスコのケーブルカー。坂の町サンフランシスコならではの乗り物でした。
 左の写真は、ダウンタウンから金門橋を渡り、北側から見た金門橋です。観光スポットなので観光客の多いこと多いこと。自家用操縦士の免許を取得してから、この橋の上空をCaptainとして遊覧したんですが、そのときの気分は最高でした。この時点では、まだ訓練生なので遠慮して地べたから金門橋をパチリ。さあ、明日からまたタッチアンドゴーの練習です。うまくいけば、今週は念願のソロフライトです。
おお、これが金門橋


トレーニング11日目(1981/7/27 Mon 12:00〜14:00)


・訓練機 ⇒Cessna150(N66592)
・飛行時間⇒2時間/累計飛行時間16時間48分
・着陸回数⇒11回/累計着陸回数34回
・出発地 ⇒HWD(ヘイワード空港)⇒LVK(リバモア空港)
・到着地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・訓練内容⇒タッチアンドゴー、急降下








 今日は、ヘイワード空港からの東に約20マイル(約32km)のリバモア空港へ飛んで、そこでタッチアンドゴーです。
 リバモア空港の滑走路は1200m、とてもこじんまりした空港ですが、かなりトラフィック(飛行機)は多いです。着陸も「You are number four.」という順番待ちも珍しくなく、「Make three-sixty.(そこで360度旋回しなさい)」とか「Extend down-wind.(場周経路を延ばしなさい)」という管制官からの指示も多い空港です。今日は、なんと10回もタッチアンドゴーしたので、さすがに疲れました。
 アメリカへ出発する前、アメリカの管制官とパイロットとの交信テープを聞いて、ATCのさわりを勉強していましたが、そのテープの管制塔がリバモアタワーでした。日本にいるころは管制官が何をしゃべっているかさっぱりわかりませんでしたが、「習うより慣れろ」で、だいぶATCも理解できるようになりました。
 左の写真は、フライト・ログブック(飛行記録)です。この訓練日記もその記録と頭の中の記憶をたどって、作成しています。
フライト・ログブック


トレーニング12日目(1981/7/28 Tue 12:20〜13:50)


・訓練機 ⇒Cessna150(N6566G)
・飛行時間⇒1時間30分/累計飛行時間18時間18分
・着陸回数⇒10回/累計着陸回数44回
・出発地 ⇒HWD(ヘイワード空港)⇒LVK(リバモア空港)
・到着地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・訓練内容⇒タッチアンドゴー、不時着訓練、ゴーアラウンド








 今日も、リバモア空港でタッチアンドゴーです。
 タッチアンドゴーを9回繰り返し、不時着訓練、そして、ゴーアラウンド(着陸復行)操作です。ゴーアラウンドとは、最終着陸態勢でて風に流された場合やどう考えても着陸失敗しそうな場合、着陸せずにまた上昇し、再度着陸をやり直す操作です。
 なんとか、無事、訓練を終了し、明日はいよいよ実技チェックを受けてOKがでれば、ファーストソロです。
 左の写真は、私のベースエアポートのヘイワード空港の夕暮れですといっても、午後9時頃にようやく夕暮れ(?)です。明日は、ついに、念願のソロ・フライトとなるのでしょうか?
ヘイワード空港の夕暮れ


祝ファーストソロ:トレーニング13日目(1981/7/29 Wed 10:00〜12:00)


・訓練機 ⇒Cessna150(N6566G)
・飛行時間⇒2時間/累計飛行時間20時間18分
・単独飛行時間⇒24分/累計単独飛行時間24分
・着陸回数⇒11回/累計着陸回数55回
・出発地 ⇒HWD(ヘイワード空港)⇒TRY(トレーシー空港)
・到着地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・訓練内容⇒タッチアンドゴー、巡航降下









 
コクピットに一人、さあ離陸、緊張、でも嬉しい! My First Solo in Tracy Airport.
(First Landing、大丈夫か?)

 訓練13日目、今日はヘイワード空港からリバモア空港を経由し、さらに東へ約20マイルのトレーシー空港まで飛んでチェックを受けます。今日の教官は訓練所の所長さんで、初めて所長さんが同乗します。
 昨日までの飛行時間、18時間18分。管制塔のないトレーシー空港でタッチアンドゴーを4回繰り返し、教官がソロOKを出してくれました。ついに、念願のファーストソロです。教官が飛行機から降りたので、コクピットには自分しか座っていません。どう、気持ちを表現したらいいかわからないくらい緊張感いっぱいでした。
 コクピットに座っているのは自分しかいないので、着陸で失敗しそうになっても、誰も助けてくれません。なんと、バウンド着陸(滑走路で機体が跳ねてしまう着陸⇒危険)もやってしまいましたが、生きて生還。

 教官にカメラを預けたので、教官が記念すべきファーストソロの写真を数枚、撮影してくれました。それから、以下は、私の24分間のファーストソロ、3回の着陸について、教官が書き残してくれたメモです。2回目の着陸が二重丸ですね。
 ・1回目⇒Too high on final:Dragging on power the runway flaring too high.
 ・2回目⇒Good approach,good power management resulting:Good flare:Touch down.
 ・3回目⇒Good approach,poor power adjustment on runway.
        Flaring too late,dragging on power too long on recovery from bounced laning.

 教官は、トレーニングブックに当日の訓練をこう評価してくれました。(Grade 1 が最高の評価)
 ・Maintain altitude with +-100 feet ⇒ Grade 1
 ・Control heading within +-10°⇒ Grade 1
 ・Control airspeed within +-5 kts ⇒ Grade 2
 ・Maintain coordinated control of the airplane ⇒ Grade 1
 ・Display reasonable skill and understanding in the execution of
  all stage one maneuvers and procedures ⇒ Grade 1

 そして、最後に教官は「Excellent Flight.」と記入。昨日までの教官とはえらい違いです。でも、うれしい!


休日(1981/7/30 Thu)


 昨日のファーストソロの余韻に浸り、今日は休日です。学科試験も合格し、無事、ファーストソロにもでれました。自家用操縦士免許を取得するためには、これからクロスカントリーで遠出したり、夜間飛行も行わなければなりませんし、単独飛行の時間が最低20時間、必要です。また、明日から新たな気持ちで訓練です。
 左の写真は、同じタウンハウスにいた小さなお子さま。階段にちょこんとかわいらしく座っていました。思わず、「Hi,May I take a picture?」といってシャッターを押しました。おお、英語がちゃんと通じた!
「Hi,May I take a picture?」「Sure!」


トレーニング14日目(1981/7/31 Fri 16:30〜17:42)


・訓練機 ⇒Cessna150(N66592)
・飛行時間⇒1時間12分/累計飛行時間21時間30分
・単独飛行時間⇒0分/累計単独飛行時間24分
・着陸回数⇒8回/累計着陸回数63回
・出発地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・到着地 ⇒HWD(ヘイワード空港)
・訓練内容⇒離着陸訓練(Short field & Soft field)









 今日は、ベースエアポートのヘイワード空港で、離着陸訓練の練習です。
 離陸には、通常の離陸のほか、できるだけ短距離滑走による離陸(Short field take off)、草地など不整地を想定した離陸(Soft field take off)があります。また、同様に着陸も、できるだけ短距離での着陸(Short field landing)、不整地着陸(Soft field landing)があります。
 短距離滑走による離陸は、滑走路の定位置でブレーキをかけて、フラップダウン(10度:軽飛行機の通常離陸ではフラップは使用しない)、パワーを全開にして、短い距離で離陸します。
 当然ですが、教官はうまく操縦されます。訓練生は、微妙な違いを体で理解するのに大変です、頭でわかっていても難しいものです。
Hayward Airport Ruway28R


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